ふすべ漬けってなあに?
 米沢の方言で、湯通しする事を「ふすべる」と言います。「雪菜」はもちろんそのまま生でサラダとして食べられますし、おひたしにしても充分美味しく頂けます。
 ですが、同じお湯に浸すのでも、おひたしと「ふすべる」ではぜんぜん違います。「ふすべる」事により、ワサビもカラシも入れていないのに不思議と辛味が生まれてくるのです。これが「雪菜」の食し方の一番難しい所であり、又、魅力的なところです。
 この「ふすべ」た「雪菜」を塩だけで漬け込んだものが「雪菜のふすべ漬け」です。神業とでも称される様な「ふすべ」方と、塩だけで漬け込まれた素材の持つ天然の味と香り、そして何とも言えない不思議な辛味は他に例え様がありません。一度口にすれば、きっとヤミツキになりますよ。
 まずは雪掘りです。ところによっては2m〜3mもの雪の下にある、「雪菜」を掘り出します。これがまた重労働!これが嫌で、雪の少ない早い時期に出荷しようとするわけですが、それでは充分な「とう」(花茎)が立っておらず、辛味も少なくつまらない味になってしまいます。
 「雪菜」はその名の通り雪の中で生長する野菜です。雪の中でじっと冬の寒さに耐え、しっかりと生長したものだけが持つ独特の風味こそが命なのです。
 掘り出した「雪菜」を丁寧に水洗いして、2〜3cm程に切り揃えます。さらに水洗いした所で、いよいよ「ふすべる」わけです。
 「雪菜」を大きめのざるに入れ、沸騰したお湯にざるごと入れます。この時「雪菜」の重さをきちんと量っておいて下さい。
 お湯に浸ける時間は2〜3秒程です。すばやく引き上げたら、天地返しをしてさらにお湯に浸けます。これを2〜3回繰り返し、「雪菜」がしんなりしてきたら1分程蒸らします。この時お湯に浸け過ぎればその時点で「おひたし」になり、短ければバリバリに硬い漬物になります。どちらも「雪菜」の命である辛味が出ず、つまらない代物になってしまいます。この「ふすべ加減」が最大のポイントです。
 この後、水に晒して粗熱を取り、十分に水気を切れば漬け込みに移ります。
 文書で表現すれば簡単ですが、実際にはこれがなかなか難しいのです。米沢の人でもなかなか上手く行きません。チャレンジ精神旺盛の方は、是非挑戦してみてください。
 最後に漬け込みですが、これは塩だけで行います。ふすべる前の「雪菜」の重量に対し、2%程の塩を使います。塩は出来るだけミネラルたっぷりの自然塩が良いでしょう。
 漬物用の樽にふすべた後の「雪菜」と塩を交互に入れ、よくかき混ぜます。「雪菜」の重さに対し、1.5〜2倍の重量の重石を載せたら、ビニール等で密封して下さい。「ふすべ漬け」の命である辛味成分は揮発性ですので、しっかり密閉しないと辛くなりませんよ。
 半日程経ったら水が上がってきますので、一度開けてよく混ぜます。重石を半分の重さに変えて、再度密封します。漬け込んでから、一昼夜経てば出来上がりです。
 塩だけで漬けたのにほのかな甘さと苦味、そして何とも言えない辛味が特徴の「雪菜のふすべ漬け」の出来上がりです。これがまた日本酒に合うのよ!普通の酒が大吟醸に変わっちゃいます。あまり美味しくない酒でも・・・それなりに・・・まずはおためしあれ。
よく洗って、きちんと切り揃える。
トップページに戻ります
これがまた大変なのよ!
前のページに戻ります
次のページに進みます
「ふすべる」のが難しいのよねー
ふすべ漬けの名人 吉田和子です