雪にすっぽりと覆われると中の気温と湿度が一定になり、自らの茎や葉を栄養分にしてやがて「とう」(花茎)が立ってきます。その「とう」の部分を食べると言う、ものすごく手間隙のかかる野菜です。
厳しい冬に雪と共に生活する先人の知恵と、その雪の中で生長する強靭な生命力を持つ野菜の不思議な味を是非一度試してみて下さい。
十分に成長した「雪菜」は、十一月中旬から十二月上旬にかけて「寄せ込み」を行います。
16〜18株を一束にし、それを三束位の幅で一列にぎゅっと寄せるのです。その周りを新聞紙と藁で覆い、さらに土を根元のほうにかけて冬の寒さを防ぎ、雪の訪れを待ちます。
「雪菜」は普通の秋野菜と同様、八月下旬から九月上旬にかけて種を蒔きます。
九月中旬から十月上旬にかけて二〜三回間引きを行います。
十一月には50〜70cm程まで成長し収穫を待ちます。普通の野菜はここで収穫を行いますが、「雪菜」はここからがちょっと違うんです。
山形県、米沢市と言えば上杉家の城下町です。その上杉の第九代米沢藩主、上杉鷹山公が奨励したと言い伝えられているのが米沢の特産品「雪菜」です。上杉家が越後から米沢に移封された際、持ち帰った長岡菜がもともと地元にあった遠山カブや体菜等と自然交雑し、その中から選抜育成したものと考えられています。古くは「かぶのとう」と呼ばれ、畑から収穫してすぐに葉を食べるのではなく、いったん寄せ込んだ後で芯から立ってきた「とう」(花茎)の部分を食すという、栽培方法も食べ方もちょっと変わった野菜です。
雪菜ってなあに?