逸話も数多い
慶次はたくさんの逸話を残している。戦国時代において人間として自由奔放に生きた慶次ではあるが人の道からはみ出している者たちには厳しかった。しかしただ厳しいだけではなく悪戯に見せながらも人を諭し、心を改めさせる術には脱帽する。若い人に人気があるのは、その人間性に惹かれるためであろう。その逸話の数々を少し紹介しよう。 @ 為政者といえども滑稽な振る舞いでその心を捉えた。 利家寒中水風呂のご馳走は有名。景勝への土産には土大根3本を献上など。 A 和尚といえどもその非道に釘をさした。 林泉寺の和尚が住民に悪さをしているので慶次が乗り込み、囲碁で賭け勝負をして和尚をぶんなぐりこらしめた。 B地元有力者の奢る気持ちを戒めるため 新宅祝いの席で床柱に斧で傷つけ、「満つれば欠ける満月」の話をして世の常を諭した。 C商人の腐った心をたたき直すため 足を放り出して話し込んでいる店員に、これも商品かと足を買うことにした。刀を抜いて足を百貫文で切り落とす算段。町役人まで巻き込んで商人の心を入れ替えた。 D使用人の生活習慣を変えるため 南無阿弥陀仏と四六時中唱えている使用人にうるさいとは言わず、仏様の身にもなってみろと諭した。 E町の無頼漢を懲らしめるため 慶次はハナゲという男と会い鼻毛を買うことにする。約束の時期になっても鼻毛の成長が遅いので、施肥として顔に黄金水(糞尿)をかけて懲らしめた。 Fいたずら心で同僚や町人の度肝を抜く 脇差を指したまま入浴したり、白い紋付羽織に小さなシラミの紋を付けたり、兜むくりの珍芸に大勢人を集めるといった悪戯をよくしていた。身分相応におおいに遊び心を使ってアッと言わせている。慶次の憎めない人間味あふれる行為である。 |