おわりに



作家隆慶一郎は前田慶次という男を次のように仕立てている。

「現代では極めて知名度の低い人物である。いつも負け戦の側に属するという奇妙な癖がある。敗者の記録は勝者によって消され、あるいは書き替えられる。敗者にして僅かでも名を残すものは人並みはずれた人間に限る。前田慶次はその数ない一人である。」

また文芸評論家の秋山駿は、一夢庵風流記を次のように評している。

「前田慶次を創造している。構想力が雄大である。行動を描いており読者も一緒に行動できる。友情を描いている。優しさあるいは恋を描いている。立会い決闘の場面があり時代小説として優れている。」

このようにたくさんの逸話を持つ前田慶次は、戦国武将として創造された。

戦国の時代を自由奔放に生き抜いたというその生き様が現代の若者に人気となったのだろう。このことにより傾奇者前田慶次は全国にその名が知れ渡った。

しかし肝心の米沢ではまだまだ知る人ぞ知るの存在である。この機会に米沢の遺跡や遺物を通してこの人物の魅力をおおいに知るべきである。

※資料「前田慶次道中日記資料編」は米沢図書館、博物館、市内書店で購入できる。(2200円)

  

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