まほろばの里の森を育む会




エノキ属は、日本原産の種が、4種あり、みな温暖な地方を中心に分布していますが、唯一エゾエノキだけが、北海道にも自生しています。本州で普通に見られるエノキ(Celtis sinensis )は、果実と葉が食用になることと、一里塚の目印として、広範囲に植えられたために、本州の人にとっては、古くより身近な存在の樹木となっているようです。
エゾエノキは、大木にはなるものの、限られた場所に数本見られる程度で、非常に貴重な樹木なのです。エゾエノキが知られるようになったのは、なんといっても、国蝶オオムラサキの食草であることです(幼虫だけがエゾエノキの葉を食べます)。オオムラサキという蝶は、美しさに関しては特に秀でているため、「国蝶」に指定されていますが、近年では数も減って、目にすることは難しくなってきています。エゾエノキの果実は青から黒へと熟すのですが、エノキのように食べられず、専ら野鳥や動物の餌になることが多いようです。条件さえ揃うと、20mとかなり大木になるので、庭木としては適しませんが、里山造りには是非利用したい樹木です。

エゾエノキ

国蝶オオムラサキの食草です(幼虫だけがエゾエノキの葉を食べます)。


日本の国蝶に定められているオオムラサキは、大型のタテハチョウの仲間。アゲハチョウよりもひとまわり大きく、たくましさを感じさせるチョウ。6月から8月にかけて、雑木林で見られる。
雑木林にすむ大きなタテハチョウ。羽根の裏面は黄白色〜灰白色、表面は黒褐色地に白〜黄色の斑紋があり、オスは青紫色に輝く。
林の上を滑降しながら堂々と飛び、時には小鳥を追いかけることもある。樹液によく来る。
大都市の近郊では生息地が減っている。幼虫の食草はエノキ。
 
    メス                                     オス