カラスの話(その3)
                                                        さと
            ー 副住職の ありがたいお諭し の巻 ー  
 平成13年5月25日


   
「ぎゃあ〜っ!!!」
  夕方、ジョウロを持ったまま、ヒロミが家の中に飛び込んで来た。

びっくりした副住職が訳を聞いてみると、次のようなことであった。

花に水をかけていると、頭の上をカラスが「わざと」低空飛行をしていったのだそうだ。

しゃがんでかわしたヒロミは恐る恐る顔を上げると、カラスはどこかに行ってしまっていない。

ほっと一安心して、またジョウロで水かけを始めたのだが、何かフト視線を感じて目を上げると、

屋根の縁の、ちょうど頭の真上にカラスがとまっていて、「私をジッと、上から見おろしていた。」

・・・ということである。              … どうも、カラスにからかわれていると、思いませんか?

日頃から、鳥類などには異常に恐怖を示すヒロミに対し、副住職は 常に(さと)していた。

「何にもしていなければ、カラスは(おそ)ってこない。」

「平然としていればいいんだよ。」    「平常心是道 (へいじょうしんこれどう) 喝っ!

「かえって必要以上に怖がるから、カラスは面白がって ちょっかい出してくるんだぞ。」

「カラスに、『 あいつは ちょっとしたことでも大騒ぎするから面白いぞ。』  と思われて、

からかわれているんではないの?」         … 副住職も からかいはじめている。

「きっとカラスに遊ばれているんだ。あはははっ!」 … ほとんど お諭しから はずれてしまっている。

 

  動物愛護の「舌切りスズメ」の話をして聞かせたこともあるが、こうした尊い副住職の教えにも

いまだ ヒロミは心を改めないでいる。



  ちなみに、からかわれているのはヒロミだけで、家族を含め、そういった話は他には聞かない。


(実際、特定の個人をカラスがねらうことはあるらしい。そういう人は、もしかすると…何かあるのかもしれませんね。)

    (注) エアガンなどで、カラスを撃ったりしたら、もしかすると復讐される ・・・ かもよ。

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