2002年2月8日(金)
メトロに挑戦
 朝8時に目がさめる。外は雨
TVをつける。朝はアニメの時間らしい。ご多分に漏れず、日本のアニメもやっている。きょうはメトロに乗って『レトロモビル』に行く事にする。10時、ホテルから出ると前の通りは朝市をやっていた。ゆうべ幅広い歩道にポールが並んで立っていたのは、この朝市の為だったようだ。食料品やら衣類、生活用品等の露店がずらりと並んで、雨にもかかわらず凄い人が集まっている。パリは緯度からいうと北海道より北になるので、相当寒いと思っていた。もちろん防寒は必要だが、僕の住む東北地方よりも寒くない。そういえば、雪景色のパリって写真でも見た記憶ないよね。

 ホテルから近いメトロの駅は「ドーメニル(Daumesnil)」駅。入り口を探して階段を下りると、切符の自販機が一つ。はて、どうする。切符の買い方は、どこかのサイトで見たような。うる覚えでTRYしてみる。まず、モニター下のローラーを回して切符を選ぶんだった筈。カーソルを一番上にすると、バラの切符のようだ。ローラーの右にある緑のボタンが“Enter”で、押すとモニターが枚数の選択に変わる。またローラーを回して必要な枚数のところにカーソルを合わせ、緑のボタンを押す。するとモニターに金額が表示された。コインを入れると切符が出てきた。じっと待っていると、お釣りもちゃんと出た。1枚1.30E。あとで分ったのだが、カルネ(Carnet10枚まとめて)で買ったほうが得だ。自動改札は日本と同じ要領。ただし、切符を通したら自力でバーを回して通らなければならない。バーを回して通過したら、すぐにある扉(バーを飛び越えていくのを防ぐ為のもの)も自分で押して改札を通る。【一度、カバンを後ろにして通ろうとしたらバーにカバンが挟まってモタついてしまい、その扉が開かなくなって閉じ込められた事があった。カバンは必ず前にして通ること。】

 8号線に乗って「コンコルド(Concorde)」駅で乗換えて、12号線の「ポルト・ドゥ・ヴェルサイユ(Pte. de Versailles)」駅というルート。電車の扉は自動ではないので、レバーを持ち上げるか緑のボタンを押す。路線によって、自動扉の車両もあるようだ。アナウンスが無いので扉の上の路線図を見て、常に自分がどこを走っているのかを注意していなければならない。

 途中、アコーディオンをかかえたおじさんが乗り込んできていきなり演奏を始めた。キャリアにリズムボックスを載せて紙コップがくくり付けてある。向かい側に座っていた老夫婦。おじいさんが音楽に合わせて踊ろうとおばあさんを誘うが、おばあさんは拒否。やっぱ日本と違うぞ!
50セントを紙コップに入れる。
レトロモビル
 程なく目的の駅に着く。外に出ると目の前に『パリ国際見本市会場
Paris Expo)』。建物に向かって歩いて行くが、どうも違う催し物をやっているようだ。「??」。歩いているうちに通りに出てしまった。と、通りの向こうにおもちゃ屋さんを発見。さっそく入ってみる。日本のおもちゃ屋とは全く違う品揃え。木や布といった素材で出来た、素朴な感じのおもちゃが売られている。唯一のキャラクター物と言えば、機関車トーマスくらいな物。いいなあ、こういうお店。

 店を出て、もう一度会場へ行ってみる。別の建物かも知れない。すると、あった、あった。外の壁に大きな看板で「RETRO MOBILE」。入場料は大人10E。中に入ると、うーん、すごい、広い。入り口の近くに「シトロエン」。スバラシイ。15CV5CV2CVCXのリムジン。シトロエンは好きなのだが現物を見る機会はほとんど無い。アンリ・シャプロンのDSなんかはまず無理。ミニカーですら滅多に手にする事が出来ない。他にもたくさんの珍しい車、車、車。それ以上に人、人、人。車の展示の他に部品やミニカー、本などの販売ブースもあり、どこも黒山の人だかりだ。ぶらりぶらりと見て歩く。

 ベンツのブースに一風変わった車が展示してあった。一昔前のフォーミュラーカーを運ぶトランスポーターだ。前輪から大きく張り出した運転席が特徴だ。
【帰国後ある人から聞いた話では、この車自体が時速200キロのスピードが出るのだという。トランスポーターがレーシングカー並?ナニ考えてんだ!ドイツ人は、と言いたいが、こういう思想大好き。】写真をクリックすると他の写真も見られるよ

 そろそろおなかも減ってきたので、何か食べよう。レストランも開設されてあるが、モノスゴク混んでいる。会場の一番奥に軽食のスタンドがあった。ちょっと長めのロールパンにサラダをはさんだサンドウィッチとジュースを注文。え?このサンドが5E?つーことは600!とビックリしたが、場所が場所だから仕方が無い。みんな床に座り込んで昼食を食べているので、僕らも邪魔にならないような場所に腰を下ろす。結構食べでのあるパンだ。

 またぶらぶら歩き出す。ミニカーのブースに寄ってみる。日本と変わりないような値段。結構高い。日本人の姿もちらりほらり見受けられる。
雨のパリ
 「
Au Chat Botte」というミニカー屋さんに行くため、RETRO MOBILEを出て目の前のLefebvre通りを歩く。店はこの通りにあるはずだ。通りの向こうにミニカー屋さんを見つける。思ったよりも大きな店構え。だが品揃えは日本とそんなに変わらない。値段も安くは無い。他にもお客がいたが、英語を話しているのでレトロモビルを見に来た外国人だろう。

 店を出てポルト・ドゥ・ヴァンヴの蚤の市へ行こうと思ったが、きょうは金曜日だった事を思い出す。蚤の市はやっていない。「プレザンス(
Plaisance)」駅からメトロに乗って「ジョルジュサンク(George V)」駅へ行き、凱旋門前の観光案内所で両替をする。3万円で245.23E、手数料なし。両替するならここが一番いいかも知れない。

 ついでにシャンゼリゼ(
Champs-Elysees)通りを散策。しかしこの雨降りには参った。プジョーのショールーム、ベンツのショールーム、シトロエンのショールーム(…これはしょぼい。車が2台置いてあるだけ)などを覗く。

 パリの街は「スマート」という二人乗りの小さい車をよく見かける。路上駐車が当たり前のパリには打って付けに違いない。ただ僕は、あの顔つきが恐くてあまり好きにはなれないが…。
モンパルナス
 もう一軒ミニカー屋さんに行くことにして、「シャンゼリゼ・クレメンソー(
Champs Elysees-Clemenceau)」駅から再びメトロに乗り「レンヌ(Rennes)」駅へ向かう。住所からいうと、この辺に『L’auto Immobile』というミニカー屋さんがある筈なんだが…無い。近所には『Librarie Trame Selection』という車専門の本屋さんもある筈なんだが…これも無い。店を閉じてしまったのだろうか。仕方なくモンパルナスに向けて歩き出す。

 トイレに行きたくなってきた。のども渇いたと弟が言うのでカフェに入りビールを注文。トイレを借りようと店の人に「パルドン」と声を掛けたら、すぐに地下への階段を指差した。トイレと言わなくても分るようだ。トイレに入ると、はて?日本では見たことのない形をしている。これで大も小も兼用するのだろうか。あした、弟の友人のフランス人に会うので聞いてみよう。


 モンパルナス・タワーのあたりを歩いていたら、レストランが目に入った。なんとなく入りやすそうな店なので、ここで夕食をとる事にする。メニューには英語が併記されていたので注文しやすかったが、肉の焼き加減でミディアムかウェルダンかと聞いてきた。レアと言ってみたが通じないようで、ミディアムにした。ところが、出てきたものは真っ黒コゲでスジだらけ。しかもデカイ。とても全部は食えたものではない。早々に店を出る。

 モンパルナスの駅に行くと、アサルトライフルを持った迷彩服の兵士達がたくさん巡回していた。目立たない為の迷彩服だが、こういう所ではかなり目立つ。この駅はいつもこんなふうに物々しいのだろうか。ちなみに彼らの持っているアサルトライフルは「FA・MAS」というフランス軍の制式ライフルで、口径5.56ミリのブルパップタイプ。多分フランスでしか見る事が出来ないであろう珍しい銃なのだが、やたらとカメラを向ける訳にはいかないし、じろじろ見ている訳にもいかない。声をかける勇気もない。写真を撮りたかったが、残念だ。
モノプリ
 6号線に乗りホテルに戻る。もう9時を過ぎている。パリにはコンビニは無いと聞いていたが、何か店はないかと周囲を散策してみる。この辺りは、あまり“治安の悪いところ”ではなさそうな雰囲気の地域だ(しかし用心は必要だ)。

 ホテルから南の方に
200メートル程行った所に『MONOPRIX』というスーパーマーケットを見つけた。ミネラルウォーターやヘアムースなどを買う。弟はガス入りのミネラルウォーターが好みだと言うが、僕はあまり好きにはなれない。この店は食料品の他に衣類や日用品も売っているので便利だ。しかも、遅くまで開いている。こういう普通のスーパーで土産物を探すのも、ひとつの手かも知れない。