2002年2月7日(木)
まずは成田へ
 さいたまの友人A君宅を出たのが、まだ暗い朝の5時半。旅行カバンを借りる都合もあり、前日から泊まっていたのだ。成田までの道が分らないので、そのA君にナビゲーターになってもらった。岩槻インターからのぼって成田を目指す。途中多少渋滞したものの、心配する事も無く首都高速湾岸線に入る。東京に向かう対向車線はかなりの渋滞だ。ここまで来ればもう安心と思いきや、A君に「まだまだ遠いよ」と言われてしまう。確かに、千葉県に入ってもかなり走ることになる。


 ようやく成田インターで降りる。だが、ネットで予約を入れていた民間駐車場に車を入れるには左側の成田市街方面のゲートを出なければならないのに、間違って空港方面で出てしまった。「わーお、なんてこった」。途中で一般道への出口は無く、空港の入り口まで来てしまった。パスポートとトランクのチェックを受けて、すぐに出口を目指す。空港から一般道への出口には大きなゲートが設けてあり、信号が青になると開くようになっている。成田空港は完成前から色々問題があったから、警戒が厳重だ。

 どうにか8時半に、『NewUSAパーキング』に着いた。結構早く着いてしまったが、渋滞に巻き込まれたり、さっきのようなアクシデントで焦るよりはよっぽどいい。ここの駐車場、12日間預けていて5,355円は安い。しかも、地元で採れた新鮮な野菜をプレゼントとある。送迎バスに乗って再び空港へ。入り口でまたパスポートのチェック。係員が送迎バスに乗り込んできたので、パスポートを見せる。A君は見送りなのだが、この為にちゃんとパスポートを持ってきてあった。
これは大問題だ
 今回のチケットは、『(株)ホライゾン』のお世話になった。親切な対応で満足満足。さて、スカンジナビア航空(SAS)のチェックインカウンターは、第2ターミナルの
1番カウンターだ。空港の中はたくさんの人だ。海外旅行に出かける人は減ったと聞いているが、本当だろうか。飛行機の出発は1255分、チェックインは1055分から。まだまだ時間がある。A君と30分程話をしてから別れる。朝が早かったので、ONライナーで寝て帰ると言う。ご苦労様でした。

 同行する弟は10時前に成田に着くと言うので待っていたが、10時を過ぎても現れない。携帯も、呼び出してはいるが出ない。ようやく30分も過ぎた頃に、髭面の弟がやってきた。遠くからでもすぐ判る。海外では携帯は使わないから、アパートに置いて来たと言う。こういう待ち合わせをする時には携帯は必要でしょ!もしもの時の連絡はどーするんだ!。

 で、預ける荷物のセキュリティチェックを受けてSASのチェックインカウンターへ。すると予想外のアクシデント。ま、旅慣れた人にはそんなに驚く程のものではないかも知れないが、オーバーブッキングによる“締め出し”に遭ったのだ。格安チケットの悲しい宿命。優先順位では最下位なのね。キャンセルがあるかも知れないので、1時間後にまた来て欲しいという。う〜ん、しょうがない。この間に昼食をとる。だがその時、両替や保険の手続きをしておけば良かったのだが、あとにしようとしたのがマチガイだった。その事については後ほど。

 1時間後にカウンターに戻ったところ、やっぱり僕らの席はないという。そこで1245分発の全日空の便でフランクフルトへ行き、そこでエールフランスのパリ行きに乗り換えるというルートに変更して欲しい、という事になってしまった。他に方法が無いのなら了承するしかない。こちらの方が、本来のSASでのコペンハーゲン経由よりも2時間早くパリに着くのだそうだ。それに、SASのクーポンを一人400ドル分ももらえるという。このクーポン、半額になるけど現金にする事も出来る。これは得した。しかも早く着く。神はビンボー人の味方か?。だが、これには大きな落とし穴があったのだ!。
どーすりゃいいんだ
 しかし、その全日空の飛行機は出発が近い。急がなければと、全日空の人がわざわざ出国審査のところまで案内してくれた。さすが日本の航空会社は、世界一サービスがいい。そうだ、両替と保険が未だだった。仕方がない、両替は向こうでやろう。保険は…ケガや病気に気を付ければ、いいか。


 そんなスッタモンダでようやく飛行機に乗り込む。と、その飛行機を見て驚いた。ポケモン・ジャンボ…。ハ、ハズカシイ。こんな飛行機でドイツまで行くのか。客室アテンダントもポケモンのエプロン、ヘッドレストのカバーもポケモンだ。

 NH0209便。こちらもほぼ満席。座席は通路側なので、トイレに行くのも楽だ。機体がゆっくりと動き出す。すると、スクリーンに滑走路が映し出された。機首にカメラがあり、その映像を見せてくれるようだ。最近はこんなサービスをするのか。と…ん?ここで肝心な事に気付く。ところでフランクフルトには何時に着くんだ?。SASの人から、フランクフルトに着いたら、エールフランスのカウンターでこれを見せるようにと渡された伝票には、1750発と書かれてある。地図を見ると、コペンハーゲンよりフランクフルトの方が遠いようだし…。

 離陸をしてしばらくすると機長のアナウンス。フランクフルトには定刻通り1645分に着くと言う。ナニッ、1時間!たった1時間しかないぞ。2時間早く着くというのは、本来ならコペンハーゲンで3時間の待ち時間だったのが、1時間になったという事だったんだ。これは大変な事になってしまった。時間が無いのに加え、トランスファーの仕方が分らない。今まで乗り継ぎなんかやった事が無い。一体どうすりゃいいんだ。ワラをもすがる思いで、全日空のアテンダントに聞いてみた。乗り継ぎの方法は、一旦入国審査を受けドイツに入り、再びチェックインを受けて出国するのだそうな。それで問題の一つは片付いた。あとはエールフランスのカウンターがどこにあるかだ。しかし、エールフランスは全日空と提携しているスターアライアンスではないので、どこにあるのか分らないと言う。ま、ヨソの会社の事をこの飛行機の中で聞かれても、困っちゃうという事なんでしょうね。ん?ということは、預けた荷物の連携はうまく行くのだろうか。全くこんな事になろうとは。前途多難を予感させる。

 そんな乗り換えの事で頭がいっぱいで、まんじりとも出来ず、ようやくフランクフルトに着く。ドイツでは入国カードは要らないそうだ。それは助かる。定刻通り1645分に到着した。しかしすぐに出られる訳ではない。ましてエコノミー、降りるのも後回しだ。こういう時の時間って長く感じるもの。いつもなら後からゆっくり降りるのだが、今回は他の人と同じように、シートベルトのサインが消える前に急いで降りる準備をする。
果たして間に合うのか
 さあ、入国審査はどこだ
!!。フランクフルトなんて思いも寄らなかったので、調べていなかったぞ。結構広い空港だ。小走りで廊下を進むと、あった、あった、ここだ。ほとんど人がいない、ラッキー。何も聞かれずスタンプを押して終わり。1710分。さあ次はエールフランスのカウンターだ。途中男性職員に聞いてみたが“ストレート”しか理解できず、とにかくまっすぐ進んで行く。するとコンコースに出た。中央にインフォメーションがあったので、ここでまた片言の英語で聞いてみた。なんと、奥のエスカレーターで2階に上がり、シャトルに乗って第2ターミナルへ行けと言う。第2ターミナルというのはここからどのくらい離れているのか見当もつかないが、とにかく行くしかない。シャトルに乗り込むとすぐに発車。2〜3分程で第2ターミナルに着いた。階下にエールフランスのカウンターを見つけ直行。カウンターにいた、いかにも名門貴族の執事といった感じのおじさんに「アイル・ゴー・トゥー・パリス」などと言いながら、SASから貰った伝票とバゲッジクライムのタグを見せると、驚いたような表情を見せたが、「No problem」と言って向こうのカウンターに行くようにとの事。で、その行列に並んでいると、女性スタッフから先程のおじさんのカウンターに呼ばれ、すぐに搭乗券を作ってくれた。時間も無く、見るに見かねてなのだろうか。搭乗券をよく見ると、De/FromFRANCFORT」とある。フランクフルトはフランス語でこう書くらしい。パスポートも一緒に出したのだが、手に取る事は無かった。

 1730分。さて、ようやく乗れると喜んだのもつかの間、今度は出国のセキュリティチェックが長蛇の列。しかし、搭乗口の方には、たった今搭乗券を発行した事が連絡されている筈だから、万一の時でも待っててくれる筈と不安な心を落ち着かせる。するとおばさんスタッフが僕らの列に向かって「Air France!ウンタラカンタラ…」と叫んだので、もうすぐ出発する僕らの便の事だろうと思い、すかさずチケットを振って返事をしたのだが、他にも結構たくさんいたので、ちょっと安心。結局、スタッフ用のセキュリティチェックの入り口から入れてくれる事になったが、こちらも一人一人時間がかかる。ショルダーバッグとポケットに入れておいたデジカメ、着ていたコートもX線に通し、探知機で体を調べる。結構丹念に調べているが、いつもこんな具合なのだろうか。

 ようやく搭乗口にたどり着いたのが1745分。間、間に合った!!。もう冷や汗もんだ。ところがまだ搭乗口は開いておらず、長い行列が出来ていた。ほとんどがビジネスの人達のようで、みんな黒いコートを着ている。すぐにでも開くのかと思いきや、結局18時過ぎに搭乗開始。ここでようやくパスポートを見せるが、そういえば出国審査が無かったな。同じEU圏へのフライトなので不要なんだろうか。AF2219便、エアバスA32130分遅れで出発した(もしかすると、僕らの荷物が原因だったのカモ)。

 以前からエールフランスには一度乗ってみたいと思っていたが、こんな事で願いが叶うとは。アテンダントは男性が多いようだ。飛び立ってしばらくすると、飲み物とおつまみのサービスが出てきた。なんと焼き鳥ではないか。竹串に鶏肉とプルーンを刺したものが2本。こちらでもポピュラーな食べ物になっているのだろうか。
どうにかパリに着く
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時間20分程でパリ・ドゴール空港に着いた。窓の外は、雨。みんなの後をついて行くと、いきなりバゲッジクライムに出た。入国審査も要らないらしい。待つ事約30分。ようやく自分の荷物が出てきた。全日空とエールフランスの連携がうまく行ったらしい(ま、空港職員のおかげね)。荷物を引っ張り出口に向かう。税関も無い。まるで国内線のようだ。

 さっそく両替。誰かのサイトによると空港からパリ市内まで5千円くらいということだったので、とりあえず2万円をユーロに変える。160.19E(ユーロ)。始めて見るユーロだ。

 タクシー乗り場に行くと、若いあんちゃんが采配をしている。お金欲しさに勝手にやっているのだろう。タクシーを止めて荷物をトランクに入れてくれて。で、チップを渡さなきゃと思ったが、細かいのが無い。仕方なく手持で一番小額の10E札を渡してしまったが、大失敗。日本人はチップを多く出し過ぎると言われるが、悪い典型だ。

 タクシーに乗り込む。女性の運転手だ。初めてのフランス・パリ。少々不安な気持ちで車窓の風景を眺める。思えば遠くに来たんだなあ。それにしてもこの運転手、飛ばすは飛ばすは140km/h!。高速から降りても強引な割り込みの連続、それも携帯かけながら…。30分程でホテルに着いた。47.9E、やっぱり5千円くらいだった。
下町のちっちゃなホテル
ドゥ・ルイリー・ホテル
Hotel de Reuilly)』。通りから細い入り口をくぐるとちょっとした庭があり、そこに玄関がある。ネットで見た写真と同じだ。「ボンソワ・ムッシュー」と覚えたてのフランス語を言いながら、ホテルの玄関を開ける。フロントのおにいさんに「ジュ・マペル・ナセバ」はよかったが、「アイ・ハヴ・リザヴェーション」は英語。などと言いながらホテルのバウチャーを渡す。このおにいさん、やたらと愛想がいい。受け取ったキーには400のナンバー。部屋番号の末尾が0とは珍しい。エレベーターがやたら狭い。二人とスーツケース2個でぎっちり。部屋に入ったらこれまた狭い。ベッド2つで一杯一杯といった感じ。安いんだから仕方がないか。洗面所の扉がベッドに当たる。シャワーは付いていた、ドライヤーも付いてる(変な形のドライヤーだが)。良かった。某サイトにはシャワーは共同、ドライヤーもフロントで借りると書かれていたので(あれはシングルルームの話だったのか)心配したけど、ひと安心。バスタブは無いが、それは期待していなかった。ベッドも少々小さめで足が出そうだが、我慢しよう。でも中々小ぎれいな、可愛い感じのホテルだ。なんとこのホテルには門限があり、夜11時から朝7時まで、玄関に鍵が掛けられるのだ。それだけ安心と言える。女性には打って付けのホテルだろう。

 のどが渇いたのでジュースでも買おうと表に出てみる。治安の具合が分らないので緊張しながら歩く。この時間ほとんどの店は閉まっていたが、ホテルの並びに果物やワインなどを置いている店があったので入ってみる。愛想の悪いおじさん。まあ、夜の9時過ぎに長髪を後ろで束ねたのと、タリバンのような髭面の見知らぬ東洋人の男二人が入って来たんじゃ、あまりいい気分じゃないだろう。「ドゥ・ユー・ハヴ・オランジュジュース?」と言ったが通じない。やっぱり英語はダメか。「オランジュ」と言いながら手で絞るようなまねをしたらようやく通じた。店の奥にあると指さす。ジュースはジュースと言わないのだろうか。見たら“Nectar de Orange”と書かれてあった。そうか、ジュースのことはネクターと言うのか。1リットルの紙パック入りで2.80E。店先にあったバナナも一緒に購入。バナナはバナナで通じるようだ。【後で調べたらジュースは“Jus(ジュ)”と言い、ネクターは100%ジュースの事らしい。】