2002年2月12日(火)

ご説明いたします
 8時にウェイクアップ・コールが鳴る。きょうはイギリスのマンチェスターへ移動する日だ。


 ここで、何故マンチェスターとグラスゴーを訪問するのか説明しよう。イギリスでは2001年5月から2002年3月まで『ジャパン・フェアー』を開催していて、各都市で日本に関する催し物を開いている。マンチェスターでは、2月14日に講演会が行われ、弟が勤めている『FOBアソシエーション』の代表者が、講演に招かれたのだ。丁度、僕らのパリ旅行と重なった為、予定を変更してマンチェスターにも行く事にした。そして、一緒に「チャールズ・レニー・マッキントッシュ(Charles Rennie Mackintosh1868〜1928)」氏のデザインした建物を見学するため、グラスゴーへも行くことになったのだ。

 パリとマンチェスターは、直線距離で600キロくらいしかない。しかし僕らはSASのチケットの為、一旦コペンハーゲンに行き、戻るような形でマンチェスターに行かなければならない。3倍もの距離を飛ぶ。えらい遠回りだ。しかし『2都市訪問可』の格安航空券で、料金の中に入っているのだから仕方がない。むしろ、安い料金でたくさん飛行機に乗れると喜ぼう(悲)。

これこそ灯台下暗し
 10
時半にルイリー・ホテルをチェックアウト。外で、ゆうべ頼んでおいたシャトルバス『WORLD SHUTTLE』の青いミニバンを待つ。

 表の通りは今朝も朝市が出て賑わっている。すぐにシャトルバスがやって来たが、かのパチーノ氏「他のお客を乗せるので
20分程待って欲しい、朝市でもふらついてて。」と言う。飛行機は1255分発。大丈夫だろうかと思いながら、近所を散策する。

 すると、ホテルの向かい側に模型屋さんを見つけた。プラモやミニカーがショーウィンドウを飾っている。もっと早く気が付けばよかった。日本ではあまり見ないものもあるが、少々値段が高いようだ。時間があればじっくり覗いてみたかったのだが、また今度という事にする。(今度があればだが)
もっとフランスにいたい
 シャトルバスは
11時過ぎに出発した。30分程でシャルル・ドゴール空港に到着。SASのカウンターを探してチェックインする。すると、コペンハーゲンからマンチェスターへ行く便の航空券も発行してくれた。本来は、乗り継ぎ便のチケットも同時に発行するものなのね。それで乗り継ぎの空港では、直接搭乗口へ行けば良い訳だ。

 さて、シャルル・ドゴール空港では搭乗口に進む途中セキュリティ・チェックはあったが、出国審査は無い。デンマークも同じEU圏という事で、不要なのだろうか。便利だが、ちょっと拍子抜け。パスポートにスタンプが欲しい。搭乗口に向かうため動く歩道に乗るが、これがやたら長い。途中下がったり上がったりする場所があり、変わった“動く歩道”だ。
デンマークは通過するだけね
 コペンハーゲンには2時間で着いた。さて、飛行機を降りようと席を立って通路を前方へ進もうとしたが、みんなが
Uターンして戻って来る。え?と後ろを振り向くと通路の突き当たりがぱっくり開いているではないか。なんと、機体のお尻から出る事になったのだ。こんな所から降りるのは初めての体験。この飛行機は「MD87」という。いろいろな飛行機があるもんだなあと思う。

 ここでも入国審査が無い。マンチェスター行きは2時間後の5時
15分。掲示板を見ると、搭乗口のナンバーがドゴール空港のカウンターで教えてくれたのと違っている。やっぱり掲示板での出発時間とゲートナンバーの確認は、欠かしてはならない。空港の中の売店を見て回り時間を潰す。

 政治の事は良く分らないが、イギリス行きの便に乗るには出国審査を受けなければならない。同じEU圏の筈なのに、イギリスは特別扱いなんだろうか。マンチェスター行きの飛行機に乗る日本人は、僕らだけのようだ。
翼よあれが大英帝国の灯だ
 飛行機がマンチェスターに向かって飛んでいる間に、日が沈んで窓の外は真っ暗になった。だがイギリス上空に差しかかると雲が切れ、地上の様子が良く見えてきた。街灯で光る道路が網の目のように張り巡らされている。たくさんの町々が輝いている。ここにも人々の暮らしがあるんだなあ。と、空の上からしみじみ。


 マンチェスターまでは2時間のフライト。しかし到着したら、ここはまだ6時10分。1時間の時差があったのだ。経度のせいだろうが、フランスとデンマークは時差が無いけど、フランスとイギリスはすぐ近くなのに時差があるというのはおかしな感じだ。

 もちろん入国審査も受けなければならない。入国審査はEUの人と、EU以外の人とに別れていた。当然僕らはEU以外の人。こちらには2〜3人程しかいない。進むと入国カードを書くテーブルがあった。ガイドブックを見ながら二人でモタモタと記入していたら、係員のおねえさんがやってきた。パスポートと帰りの航空券を見せると、OKと窓口まで連れて行ってくれた(まだ入国カードのサイン欄にサインしてないぞ)。窓口でスタンプを押してもらう。二人が同じ苗字なのに気付き「
Are you brothers?」と聞いてきた。それくらいの英語なら分る。「イエス、ウィー・アー・ブラザーズ」と答えた。

 預けた荷物を受け取り、「
EXIT」をくぐる。あれ?税関が無い。これでいいのかな?と、おどおどとロビーに出る。
円安ポンド高
 イギリスはユーロではなく、ポンドを使う。両替をしなければならない。空港内の両替所では、
140ユーロが手数料3£(ポンド)を引いて77.68£、1万円は手数料3£を引いて45.02£だ。1£2百円を越すではないか!えらくポンドが高い。手数料も高すぎる。無駄使いは控えなくちゃ。

 両替中、脇でジッと僕を見ている人がいる。あからさまに見ているので気味が悪い。急いでお金をしまう。気を付けなくっちゃ。


 タクシーに乗る。これが有名なロンドンタクシーというものか(ここはロンドンではない、正式にはブラックキャブと言うらしい)。ずいぶん重たそうな車だ。中は広い。夜の7時過ぎ、暗く寂しいマンチェスターの町を走り『ブリタニア・ホテルBritannia Hotel)』に着く。ここまで15.80£。領収書をくれた。
おすすめブリタニア
 大仰な建物だ。宿泊料金はちょっと高いが、日本で予約が出来た、一番安いマンチェスターのホテルがここだった。中に入ってビックリ。青い絨毯、正面には映画にでも出てきそうな豪華な階段、そしてシャンデリア。ちょっと気後れしそうになるが、ここは堂々と胸を張ってフロントへ。
102号室のキーを受け取る。1階ということは、日本でいう2階の事か。写真をクリックしてみて。

 部屋に入ってまたビックリ。広い!。パリのホテルが狭すぎたのか、やたら広く感じる。僕らには分不相応といった感じだ。

 もちろん、こちらはバスタブが付いている。数日ぶりのお風呂。やっぱり湯船にゆっくり浸かるのが一番だねえ。

 クローゼットにはズボンプレッサーが付いている。固定されちゃっているけど、こういうのは助かるなあ。さっそくネクタイをプレスする。

 朝食を取るのに便利なものを見つけた。ドアノブに下げる注文書だ。欲しい物にチェックを入れて朝5時までドアノブにぶら下げておくと、指定した時間に部屋まで朝食を届けてくれるというものだ。一人1枚。さっそく記入してドアノブにぶら下げておいた。

 窓の外を見ると、表の通りはほとんど人通りが無い。が、時々誰か(酔っ払い?)の叫び声が聞こえる。治安の具合が分らないので、今夜は外には出ず、部屋にいる事にしよう。