カラスの話(その1)


               ー カラスと お供え物 の話 ー     平成13年5月20日


 数年前から、カラスが目立ち始めた。 

いや、前からカラスはたくさんいたのだが、最近どうも色々な悪さをするようになってきたらしい。

 寺にお墓参りの人が来ると、その上空を旋回して、どんなお供え物を持って来ているか偵察する。

 お参りの人が帰ったら、墓にあげていったお供え物をしっかりいただく ・・・ という寸法だ。

 これに気づいたのは、副住職の妻(ヒロミ)だった。

ヒロミが買い物から帰り、参道の門を入って来ると、上空をカラスが毎回 Uターン していく。

 「なぜ? いつも・・!」

 実は、ヒロミは大の “動物恐怖症” である。 小さなかわいい子猫が「ミャオ〜」と来ただけでも

「ギャオーっつ」と叫んで逃げてくるほどである。子どもが猫をなでていても、自分は絶対近寄らない。

スズメがチュンチュン飛んできても、すぐにしゃがんでかわそうとする。   ・・・ 少し異常だ!

 以前、サファリパークのラクダ園で、ヒロミのいる助手席の自動窓ガラスをふざけて開けたら、

 …! …! …! … 1週間口をきいてもらえなかった

  それほど 動物恐怖症 & 敏感症 なヒロミだから、カラスの生態についてはプロ並に詳しい

  … しっかりと観察(警戒)しているため。 ( 家族は皆、「神経質すぎる!」 と思っている。)

   しかし、たしかにカラスには困るときもある。

 お盆やお彼岸の終わった後、お墓の掃除をするときに、困る“生き物”が … 2ついる …。

それは、まず「ハチ」。果物やボタ餅の裏側が空洞になっていて、そこにハチがいるときがある。

それを知らずに、不用意に素手でガバッとつかんだりすれば、「チクッ!」と刺されるのである。

 … そして、この頃はカラス。 きたなく食い散らかすのである。

  紙パックからビニールの果てまで、すべてきれいに処分してくれるのであれば、「カラス様様」

なのだが・・。

 町内のゴミ集積所も同様である。  だから、町内会では、ネットを張って防御している。



そんな訳で、寺では数年前から 「お供え物はお持ち帰りください。」 と表示することにした。


 そもそも、仏様にお供えしたご飯は仏飯(ぶっぱん)」といって、捨てたりはしないもの
である。

 朝お供えした仏飯は、悪くならないうちにおろして、昼食や夕食、または翌日の朝食に

混ぜていただくのである。 (乾燥・冷や飯の状態ではあるが)

  子どもの頃は、「これを食べると頭が良くなる!」などとだまされ有り難くいただいたものである。

 … いや、そのせいか、こうして頭が良くなっており五体満足で丈夫なのだろう、と感謝している。

 だから、お墓などにお参りしたならば、参拝後はお持ち帰りいただき、ご先祖様を偲び、

感謝しながら、お早めに、お供えの食べ物をおいしくいただいて欲しいものだと思うのである。

  … 「ご先祖様、召し上がっていただけましたか? それでは、私たちもお裾分けを頂戴いたします。」 …と合掌する。

 そうすれば、生きている人も食べることができ、お墓も汚されないで済むので一石二鳥である。

 お供えしたご飯を「生ゴミ」にして捨てたりしてはいけません! また、腐ったり傷んだりしたものを
そのまま、お供えしていてはいけません! … もし生きた人間に対してだったらどうなんですか!

 … 普段お供え物を食べているから、カラスが頭が良くなっているんではないの???

  お供物がカラスに食い散らかされ、

 墓を汚されるこの頃。



  カラス騒動を機に、

 お供え物について

 原点に戻って
     考えさせられたのでした。