2002年2月17日(日)

またいつの日か
 朝、カーテンを開けると、窓の外は雨降りだった。きのうグラスゴー美術学校の最上階からこのホテルが見えていたので、こちらからも見える筈と窓からその方角を見てみると、ビルとビルの間に学校の一部が見えた。

 マッキントッシュ関係で見られなかった所が、まだまだたくさんある。グラスゴーはもっとゆっくり訪れたいところだ。出来れば暖かい季節に。

ブラックキャブも乗り納め
 さてきょうは
1030分の飛行機に乗り、コペンハーゲンで乗り換えて成田へ帰らなければならない。8時にチェックアウト。フロントのおねえさんにタクシーを呼んでもらう。外に出てタクシーを待つようにと、おねえさんが言う。

 ホテルの玄関が通りから奥まったところにあるので、車は玄関先まで入って来れない。雨の中、通りに近いチャリング・クロス駅の軒先で待っていると、ブラックキャブがやって来た。

 以前、写真でよく見たブラックキャブは名前の通り真っ黒で風格のある車だったが、イギリスに来てみると車体に大きな広告がペイントされ、あまりミットモイイものではない。古い街並みに、派手な広告でにぎやかなブラックキャブが並んで停められていたりすると、が〜っかりしてしまう。街の景観を損ねてしまうと、反対は無かったのだろうか。でもそんなことより、収入の方が大事なんだよね。グラスゴー国際空港まで
15£だった。
焦っちゃうじゃないか
 空港に入り、チェックインカウンターに向かう。乗る飛行機はスカンジナビア航空(SAS)の「SK9785便」。ところがSASのカウンターが無い!どこを探しても無い!。もしかすると、空港を間違えたんじゃないだろうか。

 仕方なく他社カウンターのおねえさんに聞いてみた。すると首をひねるばかり。僕の発音が悪いのかな。“V”を意識して「スカンジナヴィアン・エアライン」と言ってみるが、問題はそんな事ではないらしい。チケットを見せろと言うのでおねえさんに渡すと、ブリティッシュ・ミッドランド航空
bmi)のカウンターへ行けと言う。搭乗券をよく見ると「OPERATED BY」の欄に“BMI”と書かれてある。気が付かなかった。

 さっそく
bmiのカウンターに行く。「ウィール・ゴー・トゥー・ナリタ・ジャパン」などと言いながら、二人のパスポートとチケットをカウンターのおねえさんに渡す。すると僕に向かってなにやら聞いているようだ。なかなか聞き取りにくい。聞き返してようやく、預ける荷物はいくつかと聞いているのが分かった。彼女の訛りのせいというより、僕の英語力の無さなんだろう。もともと英語は分からないが、ますます自信を失ってしまう。

 パスポートと一緒におねえさんから渡されたチケットは、
bmiの青い搭乗券になっていた。そのうちコペンハーゲンで乗る成田行きの便は、SASの「SK983便」と予定通りのチケットになっているのだが、これから乗るコペンハーゲン行きの便は、便名が「BD1537」になっている。BDということはbmiの飛行機だ。そしてチケットの下の方に“ALSO SK 9785”と印字がある。ひとつの飛行機で二つの便を兼用しているということか?。業界内部の事情は、僕らには全く“???”である。とにかく、利用者を混乱させるのはやめて欲しいものだ。
スコットランド名物
 エスカレーターで2階の出発フロアーに行く。売店が並んでいるが、国際空港にしてはこぢんまりしている。家にイギリスでのお土産を買っていなかったのを思い出した。

 「タータン・プラス
Tartan Plus)」という店が目に入った。そうだ、スコットランドといえばタータンチェック…ということで、さっそく入ってみる。観光客向けにいろいろなものが売られている。タータンチェックがプリントされた敷物と、スカートをはいてバグパイプを持ったおじさんの小さなぬいぐるみを買う。我ながらベタすぎて恥ずかしい。
またまた珍しい飛行機だ
 bmi
のコペンハーゲン行きに乗り込む。これまた小さな飛行機だ。「フォッカー(Fokker100」という106人乗りのオランダ製のジェット旅客機。確かフォッカー社は倒産したのではなかったかな。

 フォッカーといえば、僕らには第一次大戦で活躍した撃墜王「レッドバロン」の真っ赤に塗られた三葉機が思い出される。「フォッカー
Dr.1」という三枚翼の複葉機で、男爵でもあったドイツ軍のリヒトホーフェン大尉の愛機だ。だが彼はイギリス軍の名機「ソッピース・キャメル(Sopwith Camel)」を操るロイ・ブラウン大尉によって撃ち落されてしまう。チャールズ・M・シュルツ氏の描く、スヌーピーによる一連の“第一次大戦の撃墜王(World War 1 Flying Ace)”のエピソードはこの実話を元にしている、というのは有名だ。

 そういえば「フォッカー
Dr.1も「ソッピース・キャメル」も、中学生の頃プラモデル作ったなあ。Revell社の1/72スケール。当時100円だった。「フォッカーDr.1」は説明書通り深緑色の迷彩色に塗装したが、真っ赤な機体があるのを知ったのは後になってからだった。ムムっ、話がだいぶズレてしまった。

 僕にはオランダのフォッカー社と三葉機のフォッカーが繋がっているのかどうかは知らないが、日本にはフォッカーのジェット機は無いハズだから、とにかく珍しい飛行機に乗ることが出来てとても嬉しい。
分からん
 グラスゴーを飛び立って水平飛行になると、飲み物のサービスが始まった。りんごジュースをもらう。受け取ったプラスチックのコップを見ると、なんと“
Lufthansa”と書かれてあるではないか。ルフトハンザ?。航空会社が入り乱れている。まったく業界内部の事情は、僕らには“???の???”である。
時差にご注意
 コペンハーゲンには約2時間で着いた。掲示板でさっそく成田行きのゲートナンバーを確認する。搭乗口は出入国の審査を受ける事も無く、直接行けるところだ。そうだ、忘れていた。イギリスと1時間の時差があったんだ。急いで時計を合わせる。危なかった。うっかりしてたら乗り過ごすところだった。

 出発まで2時間ほどある。弟は空港内の売店で買い物がしたいと言って、入国審査を受けて出て行ってしまった。マンチェスターに向かう時に立ち寄った際、気になったものがあったらしい。僕は搭乗口近くのソファに腰掛け、この旅を振り返っていた。


 搭乗口の待合室には、徐々に乗客が集まりだした。若い日本人女性がやたらと目立つ。大方、相も変わらずブランド漁りでもして来たのだろう。

 ほどなく弟が帰ってきた。デンマークの通貨単位は“デンマーク・クローネ”だ。旅行者にとっても通貨を統一してもらうととても便利なのだが、ユーロにする気は無いのかな。

 そうこうしている内に搭乗が開始された。乗り込むのはエアバスA
340-300。エコノミーにもかかわらず、それぞれの座席にモニターがあり、自由にチャンネルを変えることが出来る。これも機首についたカメラで外の映像を見ることが出来るので、僕は離陸する様子をずっと見ていた。