咳が長引いたら(2013年7月1日〜5日エフエムNCVおきたまGO!で放送)

 みなさん、こんにちは。米沢市万世町金谷で、「たかだ内科」を開業させていただいている、田と申します。今週は、咳のお話です。医者にかかる時の、参考にしていただけたら幸いです。

 咳のことを、専門用語では、咳嗽といいます。咳のつづく期間が、
3週間未満なら急性咳嗽8週間以上なら慢性咳嗽、その中間を遷延性咳嗽と呼ぶことがあります。ここでは2週間以上つづく咳を、長引く咳としておきましょう。

 わたしが長引く咳と関わるようになったのは、28年前からです。病院の外来には、「咳がなかなか止まらない」と言って来る患者さんが、たくさんおりました。ある患者さんは、
3年前から咳が出て、いろいろな病院に行ったけれど、良くも悪くもならないので、もう直らないものと諦めている、とのことでした。咳を抑える薬は、ほとんどすべて飲んでいましたので、新たにお出しする薬がなくて困りました。思うところがあって、ためしに、ある薬を処方してみました。こちらは、あまり期待していなかったのですが、2週間後、その患者さんが再び来られた時、「いやあ、あの薬は苦くて飲みにぐいけんど、すんばらしぐ、効ぐんしなあ。」とおっしゃいました。飲んで1週間もすると、3年間出ていた咳が、出なくなった、というのです。その後、このような患者さんに同じ薬を処方し、その効果をまとめて、論文にしました。現在、この薬がよく効く場合は「アトピー咳嗽」と診断されるようです。「咳喘息」とならんで、日本人には多い、長引く咳の原因のひとつです。

 さて、みなさんは、どれぐらい咳が長引いたら、医者に診てもらおうと思いますか。がまん強い人でも、2週間を超えると、心配になるようです。しかし、のどが、ゼイゼイ、ヒューヒュー鳴り、呼吸が苦しくなる咳は、我慢せずに、すぐ受診してください。楽になります。咳だけでなく熱がつづく時も、はやく受診してください。
長引く咳には、原因があります。たとえ、それで困っていなくても、2週間以上続く咳は、放って置かないようにしましょう。この放送を聴いて、身に覚えのある方は、是非、受診してみてください。お待ちしております。