鬼面川河川公園
ドタキャン続出! 群遊会 春の陣
「ブナの新芽鑑賞会」改め「当選を祝う会」
黒 沢 吉 直
御指名とは・・・
「黒沢君、シラフなの君だけだから今日の原稿ヨロシクッ!!」と有難くない武田事務局長殿のお言葉が私に向かって投げかけられたのは、そう!一瞬の事だった。
油断していた・・まさか今日の宴まで会報のネタにしようとは。とうとう群遊会も万事休す、ネタ切れらしい。無理もない、昨年のドタキャンに次ぐドタキャンの成果が大きな実を結び吉報をもたらしたのだから。
思惑とは裏腹に
本来ならば例年通りの荒川の角楢小屋か三面川の三面小屋をベースに新緑のブナを愛でながら各自が釣り放題、呑み放題、寝放題、アホは誰だい、意識不明になり放題、コシアブラの天ぷら食い放題など様々な思い思いの渓を愉しむはずであったのだ・・。
しかし酔いどれ事務局長殿の奔走も虚しく参加希望者は一人また一人と姿を消し、みんな揃って携帯の電波が届きたくない場所におられるか、電源を入れたくない為かかって来ない場所に逃げ込み裏切り者と化したのだ。
傷心の事務局長殿は一抹の不安を感じながらも最後の砦、心の友と信じてやまなかった青〇さんにまでよもやのドタキャンをくらい、失意のどん底に叩き落されたのだった。しかしそこは百戦錬磨の事務局長殿のこと、自分が転ぶ時は一人では転ばないどころか、他人のパンツを下ろしながら巻き添えにしてしまう御仁である。(嘘です。武田さんはとても心優しい面倒見の良い人です。が、酒だけには異常なまでに執着心をお持ちの様です。)ここで事務局長殿は我々裏切り者を尻目になんともまあ予想だにしない反撃に打って出たのである。その内容とは当会ホームページ上で御自分の正当性を切々と訴え、世論を味方に政権与党を割って出ようとしたのである。事もあろうに新党結成までも目論んで・・・しかし賛同者は少なく万年野党に甘んじるのは必至とみるや否や、いつの間にか水面下を自由自在にタマちゃんよろしく泳ぎまくり、いつの間にか我妻会長とも話をつけてしまっていたのだ。何と言う変わり身の早さ・・・さすが群遊会が誇る敏腕事務局長殿!おみそれ致しました。その後幹部会が緊急召集され、今回の代替案についての活発なディスカッションが行われたかどうかは定かではない。兎にも角にも、どうあっても何かに理由をつけてでも呑みたいほど喉が渇いているらしい。まるで底無し沼と言うかザルと言うかザルの枠だけとでも申しましょうか、あのスレンダーボディのどこに二升も三升も納まるのか不思議でならない。そうかわかったぞ!事務局長殿の体の中を流れるのは血ではなくて、さけ、酒,sake,だもの・・・納得!!
アバウト、それは群遊流・・・
ホームページでも暴露された様に私はヘルニアと言う有り難くない友達を持っている。
今年はなんとそれが爆発してしまったのだ。長距離トラッカーという生業を持つ私にとってみれば、職業病ともいえる避けては通れない病気なのでごぢゃるよ。(ハクション大魔王風で・・・)一歩進めば「アイタタタ」、前にかがめば「アイタタタ」、身体をひねれば「アイタタタ」と何をやっても激痛が腰から爪先まで稲妻の様に走るのだ。歩行にも足を引きずり、事欠く始末でこれを哀れと言わずして何と言おうか。ナニをやっても、と言っても夜のナニではないので群遊関係者の皆様は不埒な想像されません様に周知徹底の程願い勃てまする。とにかく少ない私の休みは全て医者通いに費やされる事になっちゃったのだ。と言う訳で、釣りはおろか川を見に行く事さえも叶わぬ好青年は会のイベントは早々にリタイアの運びだったのだが・・・前述の通り柔軟性がモットーの喉がカラカラで夜もビンビンな事務局長殿は、なんだかんだと調整を続けてまんまとメンバーをおびき出す事に成功したのである。してやったり!ですな武田さん。
まずは例の如く酩酊事務局長殿からメールでイベントの案内が来て、それに私が連絡をとり「山行でなければ行けそうです、ましてや会長のお祝いの宴ですしね。」、「時間は何時からですか?場所はだいたいどこら辺ですか?」しばしのやり取りの後でホームセンタージョイなる場所にて待ち合わせと相成った。おりしも世の中はG・W終盤だ。車を走らせ、ふと窓越しに外を見やると、すれ違う対向車は家族連れで行楽帰りの疲れきったお父さんの顔、顔、顔・・・たまたま今日、明日と連休だった私も明日は家族サービスであんなになってしまうのかしら?と思うと人ごとではない、考えただけで悪寒が走る。
いや、それだけではない。国道13号を左折した途端「う・動かない・・・」思わずつぶやいた。なんと買い物客で米沢のメインストリートは溢れかえり大渋滞だ。痛恨のルートミスをしてもうたのである、山行では避けたいものだ。幸い待ち合わせの時間にはまだ30分くらいある、なぜ「くらい」かと言えば開始の時間が「3時くらいから」、「3時ごろから」、「集まり具合によって」と言うなんとも柔軟で波間に身を漂わせるクラゲの様に、決して我を通さず他人を気遣う武田さんらしい段取りだ。いつもながら感心させられる・・呑まなければ。いや、失礼!呑まなければ武田さんにあらず。なにせ私が尊敬し、酒呑みの師と仰ぐ群遊会の『恥性』だもの。見習い、そして伝授して頂かなくてはならない事も星の数ほどあるのだから。でもウ○チの一件は見習わなくてもいいです。
そうこうしていても車は牛歩の如く相変わらず流れが悪く進まない。一体この渋滞の原因は何なのかしっかり見届けてやろうと、しばらく我慢汁タラタラ状態でいると「はは〜ん、これざますねぇ〜真犯人はっ!」普段は気にも留めなかったが、なんとデッケーホームセンターとスーパーが道路を挟んでいつの間にか出来ているではないか。誘導の警備員に文句か罵声の一つでも浴びせたい所だが、心優しい温厚な私は作り笑いを浮かべて先を急いだのだった。待ち合わせの場所のホームセンターに到着・・と思いきや隣のパチンコ店の駐車場に挿入してしまった。
「だってジョイの入り口あんなに狭いんだもの」とりあえず言い訳してみよう。気を取り直して今度こそジョイの駐車場へズッポシ挿入!!は〜い、一発昇天ご到着ぅ〜!?車を降りて辺りを見渡せば、武田さんはまだ来ていない様だ。
我妻会長の家から来るはずだからと思い、駐車場から国道121号を田沢方面はどこかいな?とアホ面丸出しで行き交う車をチェックするが、それらしき怪しげな車は来ない。
来ない、まだ来ない、来る、来ない、来る、来ない、だんだん恋する乙女の花びら占いみたいになってきた。花びら大回転は好きだが、ホモソーセージは御遠慮したいものだ。
しかし来ないなぁ〜と思い、なんとなく回れ右をすると見慣れないカルディナから見慣れた茶色い髪の毛が風に揺れているのを発見した。しかも携帯を片手にキョロキョロと辺りを窺っているみたいなのだ。もしやと思いマイ携帯を開けば“着信2件有り”の表示が・・・ 「ゴメンなさ〜い」単純な私は猪の様に前しか見ず、挙句の果てに携帯の着信音も耳に入らない始末だ。おもわず猛ダッシュしてしまった、そして挨拶もそこそこに平謝り・・・
それにしても多摩ナンバー(だったと思う)のカルディナで御登場とは、完全に予想外だった。その車内からは神様、仏様、松島名誉会長様と、その筋のオニイサンも震え上がる街と渓の用心棒こと幸助さんも姿を現したのだが・・・あれぇ〜?肝心の主役がいないではないか。よくよく聞けば後ほど合流するとの事、とりあえず今回のド○キャンは回避できた模様で、内心ホッと胸をなで下ろしたのだった。とにかく現地へ向かおうという事で私は幸助さんに水先案内人を務めて頂き、目的地の鬼面川河川公園へいざ出発!と意気込み車を走らせたが・・・およそ所要時間2分で着きました、ハイ!
ビールのち酒ときどき焼酎
駐車場に車を止めれば、な〜んか正面にマイクロバスが停車していて、その傍に佇む妙にガタイのいいナイスガイオヤヂがこちらめがけて突進してくるではないか!!!ヤバイ・・・訳は無かった。な〜んだ野崎さんじゃん、お久しぶりぶり〜ぃ。そうなのだ、福島県は矢吹町にある光南高校で教鞭をとり、サッカー部の顧問もこなす聖職者(生殖者?)なんです。そして今日は光南高サッカー部、野崎一家が山形まで遠征してお礼参り・・・ではなくて練習試合に来て、しかも連チャンで明日もガチンコ親善試合の予定が入っており、これから宿に向けて出発しなければならないので長居は出来ないそうだ。
光南高校と言えば福島県内では近年、高校野球の強豪校として売り出し中だ。だが、サッカー部の実力は???まぁ裏を返せば可能性は未知数&無限大と言う事で、ズブの素人の私があれこれ詮索するのはヤメよう。人にモノを教えるという事は大変なのは重々承知しているつもりだ。恥ずかしながら私なんぞは、自分の子供達にでさえ何一つ満足に教えられないもの!野崎さんも大事なプライベートタイムを犠牲にし、身を粉にして指導しているに違いない。一日も早く撒いた種が芽を出し、蕾をつけた後に立派な花となり、いつかは元旦の国立のピッチに足を踏み入れる日が来る様に願わずにはいられないのだ。
でも別な意味で独身貴族だからといって、あっちこっちでタネ撒き散らしちゃ駄目よ!
立派な大人であり一社会人であり、なんと言っても本能をひた隠しにして紳士を演じなければならない職業でもありますしな・・・御愁傷様!!!しかし明日も試合という事にかこつけて、見知らぬ土地で今晩は相当やらかすつもりらしい。明日の試合をセッティングした当会の青木さんを含む教師仲間数人でコンパニオンを乱入させ、夜が明けるまで延々と乱痴気騒ぎの御予定だそうで、いわゆるひとつのガス抜きってヤツ?
その時、本日の主役である我妻会長がサングラスで顔を隠し、人目を忍び愛車を駆って到着した。颯爽と愛車を降りて、シモジモの皆様へ愛を込めての御挨拶。ん?なんか口調が変じゃあ〜りませんか。やっぱりセンセイになると人格操作も出来なければならないのだろうか。そうか、市会議員の姿は世を欺くカリ?仮の姿とお見受け致した。
渓での姿こそ真の姿であるはず!あってほしいと痛切に感じてイッちゃった。(どこに?)
センセイと先生も無事に御対面を果たした所で、多忙で下心はレッドゾーンの野崎一家の総長が構成員の皆さんに「お〜い、出発するぞぉ〜」と鶴の一声を掛けると、ワラワラと血気盛んなオニイサン達が一同に介し、黙々とバスへ乗り込んで行った。
去り際に野崎総長が我々に向かってサヨナラを言うと、それと同時に構成員の皆さんまでもが「チィ〜ッス、御苦労さんッス、お先に失礼しまッス」と大音量の大合唱!!!
う〜む、近頃の若いモン達にしては随分と礼儀正しいぢゃないの・・・そして見事なまでの一糸乱れぬ統率力。やっぱり野崎先生は学校では偉大なのだ!(渓では?)さぁ与太話もそこそこに仕切り直して、今宵の宴の設営にかかった。えっちらおっちらと腰のダメージにとどめをさす程の巨大クーラーボックスを運ぶ私。そんな時さりげなく幸助さんが「腰、大丈夫か?」と心優しい有難いお言葉を掛けてくださった。まさに評判通りの、気は優しくて力持ちを地でいくお方である事を確信した。ただし税金をごまかしたり納めなかったりする、ちょっくら腹黒な悪い大人には鬼気迫る形相もしくは般若の面の様なオッソロシイ顔で容赦無く差し押さえに日夜東奔西走するらしい。マルサの男と言うよりはマル暴担当の方がよっぽど適当で、理にかなっていると私は個人的には思うのだが・・・皆さん!日本国民の義務である納税は嘘偽り無く、滞り無く致しましょうね。
幸助さんから手痛いお仕置きを頂戴しない為にも、もちろん渓での粗相もイケませんな。
日頃から身震いして思わず失禁してしまうほどの伝説を聞かされているから・・・
ただちにまったりベースのセッティングが済むと、ぼちぼち人が集まり始めた。とりあえず先に来た松島さん、我妻さん、武田さん、幸助さん、私の五人に、若干遅れて合流した
須藤さん、青木さん、大滝さん、斎藤さん、春川さんのこれまた五人に兄弟会の根がかりクラブから向井さんと曽野部さんのお二人が遠路はるばるお祝いに駆けつけて・・・ではなくって、一足先に早春の荒川を満喫してきた帰りに立ち寄ってくれたのだった。結局のところ総勢十二名で生き残りを賭けた(サドンデス)デスマッチは幕をあけたのだ。まずは我妻センセイの挨拶もそこそこに、お約束のビールで乾杯だ。当然ながら話題は今回の米沢市議選に関する事へ集中する。
誰が戦車(選挙カーの事らしい)に乗ったとか、マイクを持ったとか、ビラ配りをしたとか、各戸をローラー作戦で回ったとか、曽野部さんに至っては第二の人生を考えそれまで勤務していた会社を退社し、たまたま我妻邸にフラリと立ち寄ったのが運のツキ。そのまま住み着いて能力を遺憾なく発揮し、たちまち選挙参謀の一角として重要な役割を果たしたそうな。そんな話を聞くと改めて人間とは大勢の周りの人達に支えられて生きている事を切に実感する。それに比べて私ときたら我妻会長の一世一代の大バクチじゃなくって大勝負に何もせず、陣中見舞いと称し出向いたものの我ながら何を考えていたのか事務所へは行かず、たまたま出てきた母上様に招かれるままに自宅へ上がり込みヌケヌケとお茶を御馳走になりながら、三時間もの長きに渡り世間話をして帰って来たというなんともオマヌケでお恥ずかしい次第であった。面目ございませんです、ハイ!どうしようもない役立たずで本当に申し訳無いと思うが、そもそも私なんぞの力などあっても無くても今回の選挙には一切関係ないと考える。
なぜならあの激戦区において、得票数第六位で堂々の上位当選を果たしたという結果が如実にそれを物語っている。是非とも、多数の米沢市民の負託を受けた弱者の代表として、歯に衣着せぬ発言で閉塞感漂う政界に風穴をあけ、更なる飛躍を心から祈ってやまない。
いつの間にか酒が進むにつれて話はあらぬ方向へ進み始めた。そもそもの発端は向井さんが持参したメイドイン沖縄の焼酎が現れてからだ。なにやら怪しげながら、それでいて高級感溢れるパッケージの逸品なのだが、これがまた最高に美味かった・・・らしい。
(なぜ「らしい」としか言えないかというと、本日のイベントが終わり次第に帰宅の途につかなければならない私は酔っ払いのザレ事を聞き、酒も呑まずに指を咥えて馬鹿ヅラ下げてただ眺めていなければならない拷問の様な数時間を過ごさなければならなかった為)この珠玉の逸品を口にした幸せ者達は、皆口々に「ウマイ!ウマイ!」を連呼している。
そんな間隙を縫う様に誰かが突然言い放った。「向井君の顔って東南アジア系だよね」・・・絶句!!!なっ、なんて失礼な事を言うんだろう、この人達は。揃いも揃って肝臓に自信はあっても顔に自信は無いはず、と言うか人様の顔をあれやこれやと批評出来ほど皆さんジャニーズ顔では無いと思うけど。しいていえばドリフターズ顔ですな、私も含めてですが・・・ちなみに向井さんの姉君は国際結婚だそうです。愛というシロモノは国境をも越えるらしい、また一つ勉強して大人に近付いた私であった。
向井さんへの集中砲火が下火になると、「他人の顔を勝手に批評すっ会」は思わぬ所へ飛び火した。誰あろう天下の松島名誉会長をつかまえて「マッチャンの顔はベトナム系だよな」などとほざいたのであ〜る。けっ、けっ、渓流界の重鎮に向かって、な、なんて失礼な事を言うんだろう・・・パート2。
みんな分別ある大人なんだから、例え思っていても決して本人の前では口にしてはイケナイ。だが各人の思想、信条は不問と会則に謳ってある限り、当会が失言の総合商社でなくなる事は未来永劫あり得ないはずと確信した。
しかし当の御本人は何を言われようと実に自然体というか、一向に関心を示さずどこ吹く風で、まさにカエルのツラに顔面シャワー状態だ。
得てして豪傑とは松島さんの為にある言葉かも知れない。なにせ松島さんは全然聞いてないもの!自分の愛車の違法改造談義に花が乱れ咲きし、実に楽しそうに満面の笑みを浮かべている。クラッチがどうとか、ミッションがどうとか・・・ちょっとだけアブナイかも・・・
自分の思惑、他人の思惑
鼻クソも耳クソも互いを指差し笑う様などっちもどっち的な醜い罵り合いが続く中、青木さんと須藤さんがトンズラこいちゃうと言う。自分が次のターゲットになるのを恐れての敵前逃亡か?ではなく、前述の通り青木さんは野崎さんら教師仲間とコンパニオン乱乳のお楽しみ会に出席する為、須藤さんは本日開催されている米沢最大のイベントである上杉祭りで大役を仰せつかっている為、合戦に戻らなければ・・・との事。
あれぇ〜?最初の話と違うじゃん!確か須藤さんは一度祭りに戻ってから、またこの場へ再登場するはずだったのでは・・・理由は火を見るより明白だが、敢えて無駄な抵抗と虚しい詮索はヤメよう。ただ一つだけ断言出来る事は「英雄、色を好む」と言う事のみだ!ムフフのフ。ちなみに須藤さんが扮した英雄とは川中島の合戦での上杉軍二十八将、左備大将の安田治部少輔長秀なる人物だそうである。知力に劣る私は何のこっちゃさっぱり分からない???「サビタイショウノヤセタ恥部ハショウショウスケベデナガイデー」って誰ですか?とにかくこうして長井の英雄と米沢の英雄は会の仲間をいとも簡単に捨て去り、それぞれの色欲のみならずあわよくば性欲まで満たしてやりましょうと、またもや裏切りに全力疾走してその姿を消した。はたと正面に視線を移せば、武田さんと幸助さんの姿があった。しかし数時間が経ち暗くなりかけているにも関らず、お二人ともまるで動いた気配が無いのだ。
根っこが生えたというよりは、「動かざるが山の如し」・・・まさに群遊会の風林火山だ。こんな所にも戦国武将がいたとは・・余談ですがお二人が山だとすれば、どっちが朝日でどっちが飯豊なんでしょうなぁ〜。どうでもイイ事ザマスが、ちょっぴり興味がごぢゃります。いやっ!山というよりは、やっぱり現代に生きる最後のサムライかもしれないと今思い直す事にした。空を見上げればカラスの帰宅する姿も終わりを告げ、漆黒の闇が頭上に迫って来た。各自ランタンを点けたり、ヘッデンを装着したりと備えは万全だ。すると向井さんが荒川からテイクアウトしてきたウドを取り出した。見るからに立派で旨そうなウドを早速テンプラで食する準備を始めた向井さんに対して、突如として我妻さんと武田さんが揃ってテンプラ奉行に変身した。会の山行での台所を預かるお二人には、共に料理に関して譲れない強いこだわりがある様だ。油の温度から粉の付け方から揚げ方まで、親切丁寧大きなお世話でマンツーマンの、いや!シェフが二人だから3Pでプライベートテンプラレッスンは賑やかな中にも厳かにその幕を閉じた。とうとうお待ちかねの試食タイムがやってきた。でもその前にテンプラの完成を待ち切れずに、生で噛り付いていた人もいた様な気もするが・・・痴呆症の私の辞書には「記憶」という文字は存在しないのだ!しかし揚げたてのウドのテンプラは最高に美味だった。
独特の香りと噛んだ時の口の中に広がる何とも言えないジューシーな旨味が互いにハーモニーを唱え、口の中でコザックダンスを踊っている。今日は山にこそ行けなかったが、充分に春の恵みを堪能させて頂いた向井さんへ感謝の意を表したいと思う。いつの間にか一人また一人と後を追う様にこの場所から姿を消し始めた。
そんな中、松島さんと幸助さんが行方不明だと言う・・・しかし誰も心配する風でもない。何故かと私が問えば、「あいつらは絶対大丈夫!」なんですと。そうこうしている内にとうとう武田さん、向井さん、斎藤さん、私と四人になってしまった。
そこで何故か今日唯一とも言えるシリアスな話題へと入っていったのだ。その内容とは、現在の日本という国の中での労働組合とはなんぞや!?存在意義、位置づけ、将来の展望など・・・その中で斎藤さんは現状を嘆き、憂い、悲観さえ口にしたが、しかしそれに臆する事無く熱くて大きな将来の自分自身の夢を語った。何かに向かって走っている人、何か大きな志を持っている人、その為に努力を惜しまない人、みんな熱くて格好良くて眩しく輝いて見える。私自身も人生の永遠のテーマが見つかるに越したこたぁ無いのだが、多分見つからないはずだ。
なぜなら、今まで人生手探り状態&出たとこ勝負&イイ加減で生き長らえてきたものですから。でも世の中には私の様な格好悪い人間も必要ではないか!と思っている。(チョープラス思考?必要悪?勝手な思い込み症候群?)やがてその斎藤さんも帰ってしまった。無理もない、もう少し経つと日付が変わる時間だもの・・・ふと鬼面川を見やれば月が川面を照らし、夜風が涼しさを通り越して肌寒さを覚えていた。ようやく私も使い物にならない重い腰を上げ、武田さんと向井さんに御丁寧にもお見送り頂き鬼面川河川公園を後にしたのだった。(くろさわ よしなお)
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