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 釣行記
朝日山系 荒川釣行記

始まりは群遊会総会後からだった

青 木 昌 智 


 記念誌『魚止め』の購入時に我妻事務局長(現会長)とコンタクトをとることができた。以前から、源流にあこがれていたが、行けるところまで行く遊び程度の遡行であった
 「総会があるから、そのとき顔を出して雰囲気を見てみたら、どんな会かわかるはず・・・。」と、ちょっと意味ありげな言い方であった。後に雰囲気を掴むのは、総会ではなく後の酒呑みであることが分かった。
 一人で乗り込むのはなかなか勇気のいるものである。ちょうど趣味を同じにしている友人の野崎と一緒に参加することにした。
 総会終盤(ほとんど終わっていた)から見学をし、そして、いつの間にか飲み会に突入していた。
 「ところで、装備は全然ないと言っていたけど、どの程度持ってんの。」と我妻会長、「え、全然。」と、私は屈託なく答えた。
 「こいつ大丈夫かな」と思われたのは当然であろう。三人の新参者の中で私が一番軽ノリでいたことは間違い。
 ほろ酔いを通り越し相当酔っ払った時、テーブルに残っているのは酒と梅津顧問、武田さんと私の三人であった。その後、いつの間にかタクシーに乗り、いつの間にかどこかのスナックに行った。そして、いつの間にか一曲歌って、いつの間にか帰って来て、シュラフの中に入っていた。(約束の梅津顧問の話を1人30分以上聞くことはここで成立した。こんな会則あったのか。)
 次の日の朝は反省、総会は参加せず、後の飲み会に時間を合わせるように参加してしまい、とんでもないことをしてしまったようだ。反省。こんなんでいいのだろうか。

初同行 荒川へ
 今泉駅で我妻会長、武田さんと待ち合わせをした。我妻会長の車で荒川に向かう。小国に入り、横川、荒川をながめるとコーヒー牛乳色の濁流であった。釣りは半分あきらめ状態。車止めまで行くと満車でこれまた驚き。
 荷物をまとめ出発の準備をする。武田さんに「登山道だからまだウォータースッパツ・ソックスは履かない方が良いよ。」とアドバイスを受ける。我妻会長に購入していただいたシューズを履き、ザックを背負う。荷物を軽くしていただいて、らくちんらくちん。なんて言うと次から撃沈されるので・・・。
 荒川定番のシンプルワイヤー吊り橋をいくつか渡るが何回渡っても違和感のある吊り橋だ。手すりワイヤーの高さと私の足の長さが合わないのか膝曲げ状態で渡ることになり格好悪い。足が長すぎたのか。腰の曲がった人か足の短い人に合わせて作ったと勝手に解釈して通り過ぎた。
 上流に行くほど、あのコーヒー牛乳色の川がだんだん笹濁りになってきた。我妻会長と武田さんは山道から少しはずれながら、コシアブラ、ヒラタケを採っている。ブナの森に囲まれて歩くのは、なんて気分爽快なんだろう。
 そうこうしながら吊り橋を渡り、あっというまにカクナラ小屋に到着。小屋は新旧の二棟建っている。新しい方へ荷物を運び入れると、暗黙の了解か薪集めが始まる。私もウロウロしながら薪集めを始めるが、何故か山から薪が降ってきた。手際のいい武田さんが斜面上から、一気に薪木を投げる。当たったら大変だ逃げろ。本当にニアミスがあった。
 薪を集め終わると、次は暗黙の了解が取れなかった。我妻会長の頭の中は、「まだ早い釣り行くぞ。」武田さんの頭の中は、「もうちょうどいい早く呑むぞ。」私の頭の中は、次何すんの、と言った具合だ。
 結局、「直ぐ雪渓があってやっても30分。」の説得終了後、カクナラ沢に入渓した。最初に竿を出させていただいたが、木に絡めるし、根がかりするしで釣れる気がしなかった。30分もしないうちに沢を塞ぐような雪渓が壁になって現れた。竿をたたみ雪渓の調査に登り始めた。
 雪渓前で我妻会長が「どれどれ」と言わんばかりにイワナを釣って見せてくれた。「こんなんでいいだろう。」と我妻さんも雪渓を確認に来る。雪渓超えをしてもまたでかい雪渓が表れるだろうと判断した。雪渓の頂上付近脇の崖にウルイが採られるもんかと言う顔をしている。
 我妻会長が「青木君採りに行くか。」と言うので丁寧にお断りした。雪渓サイドは口をポッカリ開いているし、「命をかけてまで採りたくないよ。」と苦笑いしていると、リックを置き、「今年始めての渓は体が慣れないな。」と言いながら、もうよじ登っている我妻会長、武田さんは酒のつまみが増えたと喜んでいる様子、「さあ、小屋へ戻ろう。」
 早速、酒、酒、酒なのだが、 外でやるのか小屋の中でやるのか迷う空模様であったが、「やっぱ外だべ。」のひと言で、風がやや強いアウトドアでの宴会開始。ここまで来たら、レインウェアーを着てまで外。鼻水をすすりながらも外なのである。
 銀マットを敷き、座り、始めようとすると、強風が吹く。三人顔を合わせる。「どうする。」追い打ちをかけるように小雨が降ってきて小屋の中に退散だ。
 「天気予報は晴れマークだったのにな。」(我妻会長)
 「青木くん〜。」(武田さん)
 いつの間にか雨男を私のせいにされている。ここで逃げてはこれから先、ず〜っと雨男にされてしまう。武田さんの50パーセントを預けられるところであった。危ない、危ない。
 小屋の中ではイワナ餃子、途中で採ったヒラタケ、ウルイ、コシアブラ、会長特製タラコスパゲッティーと様々なごちそうが並ぶ、並ぶ。今度まで私も一品は得意料理を覚えて来なきゃ。二人の語らいを聞きながらうとうとしてしまった。はっきり覚えているのは「この男(我妻会長)を信じちゃダメだよ青木君、ぼくの頭にね、スズメバチが、ところがね・・・・・。」(「スズメバチ武肉団子事件」この話は長くなるので次号ででも)と言う話だ。武田さんがトクトクと説明する。いろいろな話を聞き二人だけの難しい話?になってきた頃ぐっすり眠ってしまった。
 2日目は朝食を済ませ、本流に向かった。途中、我妻さんが武田さんに見つからないように残雪の中にビール350L、一本を忍ばせた。小屋から直ぐのところで川に降りた。
 我妻さんは竿を出さず、私だけが出させていただいた。川に降りて直ぐのところで一匹釣らせていただいた。小さくてもうれしい一匹だ。高巻きをし、もう一カ所、餌が流れきったので、竿を上げようとした。そのとき、40cm以上ある魚影を発見。手幅で我妻会長に知らせると、たばこを吸うのをやめて、
 「50cmあったか。」と竿の準備。
 そのまま、先行させていただき、水をばちゃばちゃさせ荒らしながら上がっていった。荒らしが効いたか魚が散ってしまって、魚影が全くなしになってしまった。
 また高巻くために登ったはずの所で、先に行くか話し合い。そこで、我妻さんが冷やしてきたビールの話をすると、武田さんが、探しに行こうとする。もうここで止めとすることは決まり。
 小屋へ到着し、350Lのビールを三人で分け飲んだ。そのときの武田さんのクーという顔がまた少ないビールをうまくした。
 武田さん、今回はザックの中味、軽い思いをさせていただいたうえ雨男扱いをしてしまいました。ごめんなさい。今度、同行していただける時は会持ち込みの他に、ビールを2〜3リットル隠して持っていくので、お許しを・・・。
 いや〜、よかったよかった。山もよし。渓もよし。魚もよし。酒もよし。
人もよし。よろしくお願い『群遊会』(あおき まさとも)

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