蔵王は温泉とスキー場を抱え、登山・紅葉・樹氷などを楽しむことができる山形県有数の観光地であり、古くは信仰の山として大いに繁栄した。
蔵王は名峰として古来より「わすれずの山」と呼ばれてきた。その名は南蔵王にある不忘山の呼称に残されている。蔵王という呼称の由来は690年役小角が刈田岳に金剛蔵王大権現を勧請した事に始まり、以来この地域が蔵王と呼ばれるようになった。現在、刈田岳山頂には刈田嶺神社が祀られており、蔵王の火口にできた湖「御釜」を望むことができる。
蔵王温泉は景行天皇の時代に日本武尊の東征に従った家来、吉備多賀由によって発見されたという。この「多賀由」が「高湯」になり高湯温泉と呼ばれたという。信夫高湯(吾妻高湯温泉)、白布高湯(白布温泉)とともに最上高湯や蔵王高湯と呼ばれ、三高湯の一つであった。最上義光も16歳の時、高湯に湯治に訪れ、賊に襲われたが首領を斬り捨て撃退したという。蔵王温泉と呼ばれるようになったのは昭和26年全日本観光地百選山岳第一位になってから。温泉は硫黄の匂いが強く、温泉街を流れる沢から湯煙が立ちこめている。蔵王温泉では温泉の神として酢川温泉神が祀られているが、これも歴史が古く、873年に酢川温泉神に従五位下の位が朝廷から授けられたという。
蔵王温泉からロープウェーを乗り継ぐと蔵王地蔵岳山頂に到着する。地蔵岳には七尺八寸の地蔵菩薩が祀られているが、これは安永四年(1775年)に遭難者の絶えない蔵王に建立されたもので「災難よけ地蔵」として信仰を集めている。山の名もこの地蔵様に由来する。地蔵岳の周りは冬になると樹氷原となる。樹氷は日本海からの季節風の影響で形成され、蔵王の冬の名物としてスキー客、観光客を楽しませている。 |