旧尾形家住宅

生居の庄屋尾形家の屋敷だった、旧尾形家住宅。宮生小学校そばにある「化け石」

(写真左:生居の庄屋尾形家の屋敷だった、旧尾形家住宅。)(写真右:宮生小学校そばにある「化け石」)

上山市生居にある「旧尾形家住宅」は国の重要文化財に指定されている。尾形家住宅は上層農家の特徴を持ち、江戸初期宝暦年間の建築とされている。尾形家は七十一代続いた豪族の家系でもあり、かつてその家系に生居の庄屋、権左衛門という者があり、近くの「化け石」という巨石にまつわり次のような伝説も残されている。

昔々、生居のあたりは昼でも薄暗く、夜になると石が化けて出るという話があって夜通る者もいなかった。ある晩生居の庄屋権左衛門が公用の為、夜遅く家路を急いでいると怪しい気配がして闇の中から化け石の声がする。「待ってください頼みがあります。」権左衛門は何の頼みか化け石に問うと化け石は「私にはたくさんの子があり、食べ物が無く困っています」という。そこで権左衛門、家に戻り一俵の米を握り飯にして化け石の前に供えると沢山の手が出て握り飯を平らげてしまった。すると化け石が権左衛門に「有難うございます。お礼にこの石を差し上げましょう。この石がある限り家も子孫も永久に栄えるでしょう。」と石を渡して闇に消えた。権左衛門はこの石を池に沈めて祀ったが、何と毎年石が幾つもの小石を生み出した。このため「子持石」と評判になったという。こうして村人は石を生きている「生身の石」として村を生石村と改め、さらに生居といわれるようになったという。