夏 泥  (なつどろ)



 夏の夜に汚い長屋へ泥棒が忍び込んだところ、その家の男はぐっすり寝込んでいました。
 ところがこの住人は蚊遣り木の代わりにその辺にある木を蚊遣り燻して寝たらしく、今にも火事が起きそうな状態です。
 蚊遣りの火の始末をした泥棒は男を起こして「金を出せ」と凄むのですが、無一文の上に家財道具も一切無いほど貧乏な男は脅しに動じません。
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