高野違い (こうやちがい)
隠居が鳶頭にいくつかの歌を教えます。
「『忘れても酌みやしつらん旅人の 高野の奥の玉川の水』は玉川の水は毒だから飲んではいけないとの戒めで、大和巡りをする者は心得ていなければいけない。」と言われた鳶頭は、大和巡りに行く親分にこの話をしますが、
「忘れても酌みやしつらん旅人の 後より晴るる野路の村雨」と間違え、親分に、
「『忘れても酌みやしつらん旅人の たかのの奥の玉川の水』だ」と言われます。 、
「確かにそうだが『たかの』ではなく『こうや』だ」と鳶頭が言うと、親分は、
「『たかの』と『こうや』は、音と訓の違いだ」と言います。
「『巡り逢いて見しやそれとも分かぬまに 雲隠れにし夜半の月かな』どうだ驚いたろう?」と鳶頭が言うと、
「驚くものか。それは誰の歌だ?」と聞かれ、
「鳶色式部」と答えます。
オチは色の違いなので「紺屋の間違いでございましょう」となり、「高野」と「紺屋」の地口です。