「か」さんの体験記そのC
ハープの演奏会の様子です。
コンサートに行きましたー報告(その4)
(財)米沢上杉文化振興財団主催
平成17年度置賜文化ホール自主事業
〜ちいさなNew
Year
Concert〜
平成18年1月14日 19:00開演
「伝国の杜」エントランス
ハープ:大村典子
演奏曲目
@ 春の日の花と輝く/アイルランド民謡
A 五月の歌/アッセルマン
B ルンバ/サルツェド
C 月の光/ドビュッシー
D 亜麻色の髪の乙女/ドビュッシー
E 冬の歌メドレー/ペチカ・そりすべり・冬景色ほか
F Are
You
Sleeping?/フランス民謡
G もののけ姫・いつも何度でも
H ポピュラーメドレー/ムーンリバー・エンターティナー・魅惑のワルツほか
I ひき潮/マックスウェル
J 泉/アッセルマン
K(アンコール)夜の歌/サルツェド
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山形県米沢市の「伝国の杜」では、毎冬、広いエントランスを小ホール風にしつら
えて小さなコンサートをしています。ピアノ(この時は、蓋を完全に取り外して、グ
ランドピアノを四方から囲むように座席を設置していました)や二胡のミニコンサー
トなどです。以前、2月の雪灯篭祭りの時期に、大村典子さんをお呼びして小さな
ハープのコンサートをしたことがありました。演奏者のトークもあって、手作りの演
奏会という雰囲気で、よかったな〜と思いました。ハープコンサートを一度開いてし
まったので、もう2度目はないだろうと思っていました。だから、平成17年11月
に今回のコンサートのポスターを見て、うれしくて、さっそくチケットを購入したの
でした。あんまり早くチケットを買ったもんだから、演奏会当日、どこにチケットを
置いた〜と焦りながら探したりして(笑)。
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会場に行くと、能舞台を背景にグランドハープが置いてあって、その回りに扇型に
並べられた椅子が200席。背丈約180cmの彫刻のあるグランドハープは、とて
も優雅な楽器に見えます。古くはマリー・アントワネットが、近くは皇后様がなさる
ので、ハープはとてもセレブな楽器というイメージがあります(本当は、そんな風に
思う必要はないと考えていますが)。入り口で受け取った小さなプログラムで演奏曲
目を初めて知りました。アッセルマンの「五月の歌」と「泉」が自分の目を引きまし
た。どちらも大好きな曲で、楽譜も入手してしまいましたが、グランドハープは弾け
ませんし、持ってもいませんので、ピアノで弾いて遊んでいました。
さてさて、赤いドレスでハーピスト登場。サーチライトの強い光を浴びて演奏しに
くくないのかなぁ、なんて心配したりして。しかし、このハーピストは、決して音を
割らないですね。フォルテシモで弾いてよさそうな所でも派手な音を出しませんね。
おっとりしています。それに、エチュード風の曲でも、決して急がないで、技巧を見
せつけようとしないで、いわば、マイペースで演奏します。難易度の高い所は、安全
策を選んで音を抜いていた所もあったようです(「五月の歌」と「夜の歌」の一
部)。CDで聞いたリリー・ラスキーヌ(パリ音楽院ハープ科教授)の「泉」は、恐
ろしく速かったなぁ・・・。休憩時間の後のプログラムF、Gの曲は、“サウルハー
プ”という日本製の小さな楽器を使って演奏しました。ちょっと古風な音をだす、か
わいらしい25弦のハープ(グランドハープは47弦)です。ちなみに、大村さんの
トークも何だかかわいらしい感じでした。
自分の知る範囲では、日本のハーピストは殆どが女性ですね。男性ハーピストは、
作曲家でもある朝川朋之さんと、あともう一人(名前は雨宮さんといったかな・・・)
しか、今のところ知りません(朝川さんの曲はとてもいいです)。だから、ハープっ
て女性の楽器みたいに思われているようです。でも、ハープって、もともと男性の楽
器なんだぞ!楽器を肩に乗せるというスタイル自体、男性の力仕事っていう感じがし
ませんか?本邦で名のあるハーピストは、大体がヨセフ・モルナール(最近、日本で
のハープ指導の功績が認められて本国のフランスから勲章を受けました)か、三村勉
(世界で初めて、体系的なハープの教則本を出版した日本人)の系譜に繋がる筈で、
この偉大なるお二人はどちらも男性なのだ!だから、男性だってハープを弾いていい
と思います(でも、女性が演奏した方が絵になるな、なんて自分で自分に反論したり
して)。それに、ハープは今の所、あまり普及していませんね。ピアノやギターとま
ではいわないけれど、せめてフルートがヴァイオリンくらい、もっと一般に広まって
もいいのではないかと思ったりします。だから、ハープの先生もなかなかいない。こ
の近くでは、宮城県に2人、福島県に1人(+α)。山形県内にはいなくて、グラン
ドハープの個人所有者も山形市に1人(男性との噂!)らしいです。ただし、裕福な
高校やサークルのブラスバンドの団体所有が何台かあるようです。
あーあ!自分がもっと若くて様々な制約がなかったら、どっかの音大の別科ハープ
コースに何とか入学して、2年くらい集中的にレッスンを受けたかったなぁ・・・。
だって、ハープって原理は原始的な楽器だけど、他の楽器にはない独特なよさがある
んだもん。イギリスでワトキンス(ロンドンフィルのハープ奏者、曲ではファイヤー
ダンスが有名)からレッスンを受けたという自分のハープの先生(女性)がうらやま
しい・・・(いつのまにか、文章が愚痴っぽくなってしまった)。
さて、今日の演奏のことに話題を戻せば、マックスウェルの「ひき潮」に、とても
気持ちが入っていました。ハープクラシックのレパートリーを一通り弾きこなしつ
つ、なおかつこういうロマンティックなポピュラー曲が大すきなんだなと、ハーピス
トの気持ちを汲んでいました。そういえば、前回も、アンドレ・ギャニオンの曲に一
番気持ちが入っているように聞こえたなぁ。
ともあれ、フルコース料理のような、重みと格式のある演奏会もいいけれど、厳選
された紅茶とクッキーみたいな、こういう小さな気軽なコンサートも素敵だなぁと思
いました。冬に開催されるのもいいと思います。雪が続いてちょっと寂しくなってい
る心に、灯火を配ってもらったような気持ちになります。ですから、こういう企画が
今後も続いていくことを願っています(チケット代1,200円は遠慮しすぎかなぁ。自
分なら2,000円でも買う、なんて、よけいなコメントを最後に書いたりして)。
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