近所にある珍しい風見鶏の話

( 大正時代の洋風建築。 酒の「東光」さんの建物


 旧東町上通りの町内で、「酒の東光」でおなじみの小嶋総本店さんは、昌伝庵と隣組になっています。
 ここには、前から不思議に思っていたのですが、洋風建築物があって、その屋根の上には風見鶏が付いているのです。 なぜ、ここにこのような珍しい建物があるのでしょうか?

 
 
小嶋総本店社長さんの説明によりますと、現在の社長小嶋彌左衛門さんの祖父(21代社長)が建てたもので、仲の良かった従兄弟が留学していたドイツからドイツ人のお嫁さんを連れて里帰りするというので、それをお迎えするために建てられたのだそうです。
 異国からはるばる日本に嫁いで来るお嫁さんの気持ちを推し量って、暖かく迎えてあげようと建てられたのだそうです。(今でも異国へ嫁ぐことは大変な覚悟が必要なことでしょう)

             
          少しの風でもよく回って、今でも風の吹いてくる方向を常に正確に指しています。

     風見鶏の遠景。


 西洋風の建物の奥に、風見鶏の高い塔が見えます。

 昔は1階の屋根にベランダがあって、風見鶏の塔はそのベランダに上る階段室なのだそうです。

 この貴重な建築物を、今年は補修整備する計画があるとのことです。
     これは純和風のなまこ壁の土蔵で、この中で「東光」のお酒が造られています。

 現社長さんである第23代の小嶋彌左衛門さんは、米沢を訪れる市外からの観光客のためにも「そぞろ歩きができる景観の良い町並みづくり」を考えておられます。
 
 この東町も、「景観の良い町並み」になることを、私も願っています。
          洋風建築物の隣の家は、名刀工「関の孫六」の流れを汲む、上杉藩御用達の刀鍛冶でした。
 先代までは切れ味の良い鎌などの刃物を扱っていたのです。

 また、その隣が昨年リニューアルした米沢ファミリー歯科さんです。(以前の大峡歯科さん)

 ここ東町は、江戸時代は南の会津からの街道や江戸からの板谷街道が城下に入る入口にあたり、米沢の城下町でも5本の指に入るほどの賑やかな町でした。