難しいけど面白い。教室が知的興奮につつまれる、日本語の音についての授業です。
黒板に次のように書く。
しゃ、しゅ、しょ
指示1.「しゃ、しゅ、しょ」のつく日本語の言葉を3つずつノートに書きなさい。ただし、カタカナで書くものはダメです。
カタカナを禁止したのは、外来語を除くためである。
3分後に止めさせ、「書けた人は前に出て黒板に書きなさい」と指示する。多くの子が、我先にと出てくる。
黒板に出た言葉を解説して、ノートに書かせる。
板書を全て消して、今度は次のように書く。
きゃ、きゅ、きょ
指示2.「きゃ、きゅ、きょ」のつく日本語の言葉を3つずつノートに書きなさい。
3分後、同じように板書させる。
松野氏の論文と同じく、「きゃ」の付く言葉は1つしか出なかった。
板書を全て消して、今度は次のように書く。
ひゃ、ひゅ、ひょ
指示3.「ひゃ、ひゅ、ひょ」のつく日本語の言葉を3つずつノートに書きなさい。
「ひゅ」が出ないので、次のように説明する。
「日本語には『ひゅ』のつく言葉は2つしかありません。1つは風がひゅうひゅうふくの『ひゅうひゅう』。もう1つは九州にある街の名前で『ひゅうが』です。(言いながら「日向」と板書)」
元実践では『巨人の星』の「星飛雄馬(ほしひゅうま)」や『キャプテン翼』の「日向小次郎(ひゅうがこじろう)」の名があがる。しかし、どちらも古い漫画である。うちのクラスの子は誰も知らなかった。
板書を全て消して、今度は次のように書く。
みゃ、みゅ、みょ
指示4.「みゃ、みゅ、みょ」のつく日本語の言葉を3つずつノートに書きなさい。
極端に少なかったので、「みょうじ(名字)」と「みょうじょう(明星)」を教師が教えた。
最後に次の説明を行って、授業を終えた。
「日本語には『みゅ』のつく言葉は1つしかありません。(板書しながら)『大豆生田』と書いて、『おおまみゅうだ』と読みます。人の名字で、東京に20人ぐらいいるそうです」